現場で使う工程表の作り方【エクセルのバーチャートで十分】遅れたときの挽回まで


初心者

ビーバー監督
「工程表を作れと言われたけど、書き方を教わっていない」 「ネットワーク工程表って、実務でも使うの?」 「工程が遅れたとき、どう立て直せばいいのか分からない」
工程表は、施工管理の仕事の中で一番「教わらないまま任される」ものだと思います。試験ではネットワーク工程表の計算が出ますが、現場で最初に作らされるのはたいてい別物です。
この記事では、筆者が実務でやってきたエクセルのバーチャートでの作り方と、工程が遅れたときに班を増やして挽回した経験をそのまま書きます。
- 初めて工程表を任された新人監督
- ネットワーク工程表は勉強したが、実務でどう使うか分からない人
- 工程が遅れがちで、立て直し方を知りたい人
- 実務の工程表はエクセルのバーチャートで十分。ネットワークは大規模工事か試験のためのもの
- 作り方は「完成日から逆算」して、工種を並べ、予定と実績を2段で書く
- 遅れは「見つける」が9割。週1回、実績の線を引くだけで早く気づける
- 挽回の基本は班を増やす(人を足す)。残業・休日出勤は最後の手段
工程表は「現場の約束事」 #
最初に、工程表が何のためにあるかを押さえてください。きれいな表を作ることが目的ではありません。
| 誰のため | 工程表がないと起きること |
|---|---|
| 協力会社(職人) | 他の現場も抱えているので、日程を早く伝えないと人が来ない |
| 材料・機械 | 納期がある。発注が遅れると工程ごと止まる |
| 発注者 | 「いつ終わるのか」を説明できないと信用を失う |
| 自分 | 今日やるべきことが分からず、後手に回る |
つまり工程表は、関係者全員と交わす「いつ・何をやるか」の約束事です。だから正確さより、早く作って早く共有することのほうが大事です。
実務はバーチャートで十分 #
工程表には大きく2種類あります。
| バーチャート(横線式) | ネットワーク工程表 | |
|---|---|---|
| 見た目 | 工種ごとに横棒を引く | 矢印と丸で作業の順序をつなぐ |
| 作りやすさ | 簡単。エクセルで作れる | 手間がかかる |
| 分かること | いつ何をやるか、が一目で分かる | どの作業が遅れると全体が遅れるか(クリティカルパス) |
| 向いている現場 | 一般的な土木・造園工事のほぼすべて | 工種が複雑に絡む大規模工事 |
| 試験 | — | 1級土木の一次で毎年出題 |
筆者が実務で使っていたのは、バーチャートです。 ネットワーク工程表は試験のために勉強しましたが、現場で自分で描いたことはほとんどありません。
工種が多く、前後関係が複雑な現場では、ネットワークで「どこがボトルネックか」を把握する価値があります。
ただ、新人がまず任される規模の現場では、バーチャートで足ります。試験用の知識は、バーチャートを組むときの「順番の考え方」として頭の中で使えば十分です。

初心者

ビーバー監督
エクセルでバーチャートを作る手順 #
筆者はずっとエクセルで作っていました。専用ソフトは使っていません。会社にひな形があればそれを使ってください。 なければ、次の手順で作れます。
手順1:完成日(ゴール)を先に決める #
工程表は後ろから作ります。
- 引渡し日・完成検査日
- 中間検査の日
- 発注者との約束の日
これらを先に書き込んで、そこから逆算して各工種の日程を決めます。前から積み上げると、最後に「間に合わない」が発覚します。
手順2:工種を縦に並べる #
縦軸に工種を、施工する順番で上から並べます。
準備工
仮設工
土工(掘削)
土工(埋戻し)
基礎工
構造物工
舗装工
付帯工
片付け・検査
最初は大きな工種だけで構いません。細かくしすぎると更新が追いつかなくなります。
手順3:横に日付を並べ、休日を塗る #
横軸は1日1列。土日・祝日・現場の休工日は先に色を付けておきます。これを忘れると、日数の計算が全部ずれます。
手順4:各工種の日数を出す #
日数は「数量 ÷ 1日にできる量」で出します。
例:掘削 500m³ ÷ 1日100m³ = 5日
1日にできる量(歩掛)は、協力会社に直接聞くのが一番正確です。「これ、何日で終わりますか?」と聞けば教えてくれます。新人が自分で見積もるより、はるかに確かです。
土工は雨が降ると止まります。カレンダー通りの日数で組むと、必ず遅れます。
その地域・その時期の雨の日数を見込んで、余裕日(予備日)を入れておくのが実務のコツです。梅雨や台風の時期は特に厚めに取ってください。
手順5:予定と実績を「2段」で書く #
ここが一番大事です。
各工種の行を上下2段にして、上段に予定の線、下段に実績の線を引きます。
土工(掘削) 予定 ■■■■■
実績 ■■■□□ ← 2日遅れているのが一目で分かる
予定だけの工程表は「作った日」で役目を終えます。実績を書き足していくことで、初めて「使える工程表」になります。
全体・月間・週間の3つを使い分ける #
実務では、粗さの違う工程表を3種類使います。
| 種類 | 粗さ | 主な用途 |
|---|---|---|
| 全体工程表 | 工種単位・工期全体 | 発注者への提出、全体の見通し |
| 月間工程表 | 週〜日単位 | 協力会社への手配、材料の発注 |
| 週間工程表 | 日単位・作業単位 | 職人さんへの指示、朝礼で使う |
現場で一番使うのは週間工程表です。 「今週は何曜日にどの班が入って、何をやるか」がここで決まります。
全体工程表は、着手時に1回作ったら、あとは月に1回程度の見直しで足ります。

初心者

ビーバー監督
遅れは「見つける」が9割 #
工程が遅れる原因は、だいたい決まっています。
- 天候(雨・雪・猛暑)
- 材料の納期遅れ
- 前の工程が終わっていない
- 設計変更・現場条件の違い(地中の障害物など)
- 人が集まらない
どれもある日突然、1週間遅れるわけではありません。1日、また1日と積み重なって、気づいたときには取り返せなくなっています。
だから対策は単純で、週に1回、実績の線を引く。これだけです。線を引けば、予定との差が目に見えます。
筆者のおすすめは、週の終わりに来週の週間工程表を作るついでに、今週の実績線を引くことです。
「予定より2日遅れている」と数字で分かった時点で、翌週の手配を変えられます。月末に気づいたのでは、協力会社の都合がつきません。
遅れたときの挽回策 #
基本は「班を増やす」 #
筆者が実際にやったのは、班を増やすことです。 1班で進めていた作業に、もう1班入れる。単純ですが、これが一番効きます。
ただし、条件があります。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 作業エリアを分けられる | 同じ場所に2班入れても、ぶつかって効率が落ちる |
| 監督が両方を見られる | 班が増えれば、指示・確認・写真も倍になる |
| 協力会社に早く相談する | 人は急には集まらない。遅れに気づいたらすぐ連絡 |
3つ目が特に重要です。「来週から2班でお願いできますか」は、遅れに気づいた週のうちに言ってください。1週間後では手遅れです。
そのほかの挽回策 #
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 並行作業 | 順番にやる予定だった工種を同時に進める | 干渉しないか確認 |
| 機械を大きくする・増やす | 掘削機のサイズアップ、ダンプの台数追加 | 搬入路・置き場の確保 |
| 工種の順番を入れ替える | 天候に左右されない作業を雨の日に回す | 前後関係を崩さない |
| 残業・休日出勤 | 稼働時間を増やす | 最後の手段。安全と品質が落ちる |
急げば急ぐほど、確認が雑になります。班を増やしたなら、写真と検査の段取りも増やしてください。
挽回して工期に間に合っても、やり直し工事が出たら意味がありません。
自分の責任でない遅れは、記録を残す #
天候・設計変更・地中障害物など、施工者の責任でない遅れは、工期延長の協議材料になります。
ただし、記録がなければ協議になりません。 雨で休んだ日、障害物が出た日は、日付と写真を残してください。詳しくは → 施工写真の撮り方【写真が残っていないと検査に落ちます】
試験との関係 #
この記事の内容は、そのまま試験にもつながります。
| 試験 | つながる内容 |
|---|---|
| 1級土木 第一次 | ネットワーク工程表のクリティカルパス計算は毎年出題。パターン練習で得点源に → 1級土木 頻出分野 |
| 土木 第二次(経験記述) | 工程管理のテーマで「班を増やして○日短縮した」は、そのまま使える実務ネタ。数値で書くのがコツ → 経験記述の書き方 |
| 造園 第二次 | 工程管理は必須問題。バーチャートとネットワークの特徴の違いは押さえておく → 1級造園 第二次検定 記述問題対策 |
あると便利なもの #
現場事務所に大きな月間予定表を貼っておくと、職人さんも工程を見に来られます。エクセルの工程表を印刷して貼るだけでも十分ですが、書き換えの多い現場ではホワイトボード型が楽です。
体系的に学びたい方は、工程管理の入門書を1冊手元に置いておくと、用語で困らなくなります。
よくある質問 #
Q1. 工程表は何日かけて作ればいいですか? #
最初の版は1〜2日で作って、すぐ共有してください。 完璧なものを1週間かけて作るより、粗い版を早く出して協力会社の意見で直すほうが、結果的に正確になります。
Q2. 歩掛(1日にできる量)が分かりません。 #
協力会社に聞いてください。 「この数量、何日で終わりますか」と聞けば答えてくれます。会社の過去の工程表や、先輩の現場の実績も参考になります。
Q3. 遅れを上司や発注者に言いにくいです。 #
遅れは早く言うほど選択肢が残ります。 隠して月末に発覚すると、挽回策が残業しかなくなります。「2日遅れているので、来週から班を増やします」と、対策とセットで報告すれば、怒られることはまずありません。
Q4. 専用の工程表ソフトは必要ですか? #
新人のうちは不要です。 エクセルで十分ですし、会社にひな形があるならそれを使うのが一番です。ソフトは、大規模現場やネットワーク工程表を本格的に運用する段階で検討すれば足ります。
まとめ #
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 種類 | 実務はバーチャートで十分。ネットワークは試験と大規模現場 |
| 道具 | エクセル。会社のひな形があればそれを使う |
| 作り方 | 完成日から逆算 → 工種を順に並べる → 休日を塗る → 日数は数量÷歩掛 |
| 一番大事 | 予定と実績を2段で書く。実績を書いて初めて「使える」 |
| 使い分け | 全体・月間・週間。現場で一番使うのは週間 |
| 遅れ | 週1回の実績線で早く気づく。挽回は班を増やす、残業は最後 |
| 記録 | 自分の責任でない遅れは、日付と写真を残す |
工程表は、作った瞬間より更新し続けることに価値があります。まずはエクセルで粗い版を作って、金曜の夕方に線を引く習慣から始めてみてください。
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ビーバー監督
1級土木・造園施工管理技士
造園作業員として働きながら独学で2級・1級造園施工管理技士を取得。その後、1級土木施工管理技士も独学で合格。 現在は現役の土木職員として働きながら、資格取得を目指す方に役立つ情報を発信しています。
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