施工管理技士 経験記述の書き方【第二次検定 合格の7原則とNG例】

第二次検定(旧実地試験)で最も配点が大きいと言われるのが 経験記述。ここで点を落とすと、他でどれだけ取っても合格は難しい科目です。
この記事では、土木・造園どちらの施工管理技士にも共通する「採点者に伝わる経験記述の書き方」を、7つの原則と典型的なNG例・修正例で解説します。
受験する資格に特化した合格文例(3テーマ分)は、以下の個別記事に用意しています。
- 土木受験の方:土木施工管理技士 経験記述の書き方【合格文例3テーマ付き】
- 造園受験の方:造園施工管理技士 経験記述の書き方【合格文例3テーマ付き】
経験記述とは?なぜ配点が大きいのか #
第二次検定の経験記述は、自分が実際に担当した工事を題材に、「どんな課題があり、どう検討し、どう対処し、結果どうだったか」 を800〜1,000字程度で記述する問題です。
出題テーマは年度によって変わりますが、おおむね次の3つに集約されます。
- 品質管理(コンクリート品質、材料管理、精度管理など)
- 工程管理(工期短縮、出来形確保、天候遅延対応など)
- 安全管理(墜落防止、重機接触、第三者災害防止など)
採点基準は公開されていませんが、実務能力を問う問題である以上、「現場を本当に管理していた人が書いた文章か」 が見られていると考えるのが自然です。
共通の7原則:採点者に伝わる記述のコツ #
原則1. 工事概要は「数値」で語る #
工事名、発注者、工期、工事場所、自分の立場など、数値と固有名詞で具体化 します。
- ❌ 「県内の道路工事で現場代理人を務めた」
- ✅ 「〇〇県△△市 県道◯号線 舗装打換え工事/工期:令和◯年◯月〜令和◯年◯月/現場代理人として従事」
数字と固有名詞が入るだけで「本当に担当した工事」感が格段に増します。
原則2. 課題→検討→処置→結果 の4段構成を崩さない #
経験記述の骨格は必ず次の流れにします。
- 現場で発生した技術的課題(何が問題だったか)
- 課題に対する検討内容(どんな選択肢を考え、なぜその案を選んだか)
- 実際に実施した処置(いつ・誰が・何を・どうやったか)
- 結果の評価(その処置で課題が解決できたか、数値で示す)
この4つを欠くと、採点者は「結局何をやった現場なのか」が追えません。
原則3. 「自分が何をしたか」を主語にする #
記述の主語は常に 「私は」 で書きます。会社名や職長名を主語にすると、「あなた自身が管理していた証拠」が薄くなります。
- ❌ 「当社は品質向上のため受入検査を徹底した」
- ✅ 「私は受入検査担当者を指名し、スランプ・空気量を全車確認する体制を構築した」
原則4. 課題は「教科書的」でなく「現場固有」にする #
「工期が短かった」「品質が悪かった」など汎用的すぎる課題は減点対象。その現場ならではの条件(気温・地盤・周辺環境・工法の制約など)を絡めると説得力が出ます。
- ❌ 「真夏でコンクリート品質が低下する恐れがあった」
- ✅ 「最高気温35℃超が続く時期の打設となり、スランプロスと収縮ひび割れの発生が懸念された」
原則5. 処置は「誰が読んでも再現できる」レベルで書く #
処置内容は具体的に。使う材料・数値・回数・頻度まで落とし込みます。
- ❌ 「保温養生を行った」
- ✅ 「打設後24時間は養生マットと散水用ホースで湿潤養生を継続し、表面温度を朝夕計測して記録した」
原則6. 結果は「数値で評価」する #
最後の結果評価は、課題で挙げた指標に対応する数値で締めくくります。
- ❌ 「品質を確保することができた」
- ✅ 「圧縮強度試験で設計基準強度を全ロット上回り、ひび割れ発生も0件で引き渡した」
原則7. 800〜1,000字を埋めきる #
解答欄を半分しか埋めていないと、それだけで減点されます。下書き段階で字数をカウントし、9割以上を埋める ことを徹底しましょう。
よくあるNG例と修正例 #
NG例1:課題が抽象的で現場感がない #
工期が厳しかったため、工程管理を徹底した。
修正例
当初工程では降雨日を20%と見込んでいたが、着工後2週間で30%を超え、舗装打設が5日遅延した。このままでは最終引渡し日に間に合わないため、クリティカルパス上の区画Aの先行着手 を検討課題とした。
課題に 数値・原因・影響 が入ると一気に読ませる文章になります。
NG例2:処置が一般論で終わっている #
安全朝礼を毎日実施し、安全意識の向上を図った。
修正例
毎朝のTBMに加え、重機接触災害ゼロを目標に、重機旋回範囲を赤コーンで明示し、合図者1名を専任配置する運用 に切替えた。加えて、毎週金曜にKY活動の内容を掲示板で共有した。
「何をどう変えたか」を書くと、管理者としての判断が伝わります。
NG例3:結果が主観的な感想になっている #
関係者の協力により、無事に工事を終えることができた。
修正例
上記処置により、工事完了まで重機接触・墜落等の災害0件、ヒヤリハット報告は月平均3件から1件に減少。元請協議会での評価も得た。
経験記述を仕上げる手順 #
ステップ1. 書く工事を1つ決める(2週間以上担当した現場) #
2週間未満の応援では、課題・検討・処置の厚みが出せません。最低でも2週間、できれば1ヶ月以上担当した工事を選びます。
ステップ2. 3テーマ分(品質・工程・安全)を並行して準備 #
年度によってテーマが変わるため、同じ現場で3テーマを書ける ようにしておくのが安全。1つの工事を深掘りしたほうがブレません。
ステップ3. 800字のテンプレートに落とし込む #
以下のような配分で書くと、800字で自然に埋まります。
- 工事概要:100字
- 課題:150字
- 検討:200字
- 処置:200字
- 結果:150字
ステップ4. 他人に読んでもらう(添削を受ける) #
自分で書いた文章は客観視できません。以下のいずれかで 必ず添削を受けて ください。
- 会社の先輩・上司
- 通信講座(有料だが、実地合格者数が多い講座を選ぶ)
- 独学者は SNS の勉強仲間で相互添削
土木・造園で異なる点 #
共通の骨格は同じですが、工種・用語・評価指標 は大きく異なります。受験する資格に合わせた文例・用語の使い方は個別記事を参照してください。
土木受験の方 #
コンクリート工事・基礎工事・土工など土木特有の工種に合わせた合格文例を3テーマ分掲載しています。
造園受験の方 #
植栽工事・公園整備・高木剪定など造園工事に特化した文例を3テーマ分掲載しています。
経験記述は「他人の目を通す」だけで品質が跳ね上がります。独学で不安が残る部分は、添削サービスでピンポイント補強するのがコスパ◎。土木・造園で対応スクールが異なります。
学習に使える無料ツール #
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ビーバー監督
1級土木・造園施工管理技士
造園作業員として働きながら独学で2級・1級造園施工管理技士を取得。その後、1級土木施工管理技士も独学で合格。 現在は現役の土木職員として働きながら、資格取得を目指す方に役立つ情報を発信しています。
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