施工計画書の作り方【新人が最初に任される書類|中身より「出す時期」が大事】


初心者

ビーバー監督
「施工計画書を作れと言われたけど、何を書けばいいのか分からない」 「前の現場のものを流用していいのか、判断がつかない」 「いつまでに出せばいいのか、誰も教えてくれない」
工程表と並んで、新人監督が最初につまずく書類です。しかも分厚い。開いた瞬間に心が折れます。
この記事では、施工計画書の何が本当に大事なのかを、実務の順番でまとめます。結論を先に言うと、中身の完成度より「出す時期」のほうが重要です。
筆者は初めて現場代理人になったとき、提出した施工計画書を全ページ鉛筆で直されました。 その失敗の話も書きます。
- 初めて施工計画書を任された新人監督
- ひな形はあるが、どこを直せばいいか分からない人
- 「変更施工計画書」を出すべきか迷っている人
- 施工計画書は着工前に提出する。出ていないと工事に着手できない
- ゼロから書かない。会社のひな形+前の現場の実績が土台
- 直すべきは**「この現場に固有のところ」だけ**。そこが差し戻しの理由になる
- 工事が変わったら変更施工計画書を出す。出し忘れが一番まずい
まず押さえる:施工計画書は「出さないと始められない」書類です #
ここが工程表との一番の違いです。
| 工程表 | 施工計画書 | |
|---|---|---|
| 目的 | いつ・何をやるかの共有 | どうやって安全に作るかの説明 |
| 提出先 | 社内・協力会社が中心 | 発注者(監督員) |
| 出さないと | 段取りが悪くなる | 工事に着手できない |
公共工事では、着工前に施工計画書を提出し、監督員の確認を受けてから工事に入るのが原則です。つまり提出が遅れると、工程がそのまま後ろにずれます。
「完璧なものを作ってから出そう」として、提出が遅れることです。
施工計画書は、出したあとに監督員から指摘が入って直すのが普通です。60点で早く出して、直すほうが正解です。100点を目指して着工が遅れたら、それは現場の損失になります。
まず提出期限を確認してください。 中身を考えるのはそのあとです。
施工計画書に書くこと #
発注者や工事の種類によって様式は変わりますが、土木の公共工事では概ね次の項目が求められます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 工事概要 | 工事名・工期・工事場所・発注者・請負金額・工事内容 |
| 計画工程表 | 全体工程。ここで工程表が要る |
| 現場組織表 | 誰が何の担当か。主任技術者・監理技術者を明記 |
| 指定機械 | 契約で指定された機械があれば |
| 主要船舶・機械 | 使用する建設機械と規格 |
| 主要資材 | 使う材料と、規格・数量・メーカー |
| 施工方法(主要機械・仮設備計画・工事用地等) | ここが本体。工種ごとの施工手順 |
| 施工管理計画 | 品質・出来形・写真をどう管理するか |
| 安全管理 | 危険箇所と対策、KY活動、安全教育の計画 |
| 緊急時の体制及び対応 | 事故・災害時の連絡網 |
| 交通管理 | 交通誘導員の配置・仮設道路・通行止めの計画 |
| 環境対策 | 騒音・振動・粉じん・濁水の対策 |
| 現場作業環境の整備 | 仮設事務所・トイレ・休憩所 |
| 再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法 | 発生土・産廃の行き先 |
上の全項目を同じ密度で書こうとすると終わりません。
力を入れるのは「施工方法」と「安全管理」の2つです。ここが発注者の一番見るところで、差し戻しの理由もほぼここから出ます。
連絡網や仮設備の一般的な記述は、ひな形のままで問題ないことが多いです。

初心者

ビーバー監督
ゼロから書かない。ひな形と過去の実績を土台にする #
施工計画書は、流用が前提の書類です。
理由は2つあります。
- 項目の抜けを防げる——決まった項目を網羅するのが目的なので、実績のある様式を使うほうが確実
- 会社として説明が統一される——毎回書き方が変わると、発注者も読みにくい
探す順番 #
| 順番 | 探すもの |
|---|---|
| 1 | 会社のひな形(あれば最優先。書式が決まっていることが多い) |
| 2 | 同じ発注者・似た工種の過去の施工計画書 |
| 3 | 発注者が公開している記載例・様式 |
まず上司に「似た工事の施工計画書はありますか」と聞いてください。 ほぼ出てきます。
⚠️ ただし、流用元の「種類」を間違えると全滅します #
ここが落とし穴です。同じ「施工計画書」という名前でも、中身が別物のことがあります。
| 流用元 | 使えるか |
|---|---|
| 同じ発注者・似た工種の工事 | ◎ 一番安全 |
| 同じ発注者・違う工種の工事 | ○ 構成は使える。施工方法は全部書き直し |
| 違う発注者の工事 | △ 様式そのものが違うことがある |
| 業務委託(工事ではない)の計画書 | ✗ 別物です |
特に最後です。 調査・測量・設計などの業務委託と、工事は求められる中身が違います。 名前が似ているだけで、流用しても使えません。

初心者

ビーバー監督
【実体験】全ページに鉛筆で書き込まれて返ってきました #
新人のころ、初めて現場代理人を任された工事でのことです。
施工計画書を作れと言われたものの、何も分かりませんでした。そこで上司に相談したら、自分が持っていた「業務委託」の施工計画書を見せてくれました。
それを真似して作り、監督員に提出しました。
数日後、呼び出されました。返ってきた施工計画書は、全ページに鉛筆で注意書きが入っていました。
業務委託の計画書を、工事の計画書として出してしまったことです。
名前は同じ「施工計画書」でも、業務委託と工事では求められる中身が違います。 施工方法も、安全管理も、品質管理も、前提から違う。だから直しようがなく、全ページになったわけです。
上司に悪気はなく、私も「施工計画書」という名前だけで同じものだと思い込んでいました。確認しなかったのは自分です。
いま思えば、聞くべきだったのは一言でした。
「この工事と同じ種類の、似た工種の施工計画書はありますか」
「施工計画書はありますか」ではなく、**「同じ種類の」**を付ける。これだけで防げました。
この失敗から学んだこと #
| 流用元は自分で確認する | 上司が渡してくれたものが、必ずしも適切とは限らない |
| 分からないなら、出す前に監督員に相談していい | 「初めてなので、様式の参考をいただけますか」で済みます |
| 全ページ直されても、工事は進む | 恥ずかしかったですが、直して再提出すれば通ります |
赤ペンではなく鉛筆でした。こちらが消して直せるようにしてくれていたわけです。
差し戻しは、突き返されたのではなく「教えてもらった」ということです。当時は落ち込みましたが、あの1冊で施工計画書の考え方が身につきました。
新人のうちに、たくさん直してもらってください。
そして、直すのは「この現場に固有のところ」だけ #
流用したまま出すと、必ずここで差し戻されます。
| 直すところ | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 工事名・工期・請負金額 | 前の現場の名前が残っている=即差し戻し |
| 現場組織表の氏名 | 担当者が違う人のまま |
| 現場の地形・周辺条件 | 川沿い/住宅地/交通量など、現場ごとに全く違う |
| 使う機械の規格 | 進入路の幅で入れる機械が変わる |
| 安全上の危険箇所 | その現場で何が危ないか。ここは流用できません |
| 近隣・環境への配慮 | 学校が近い、病院が近い、等 |
笑い話のようですが、本当によくあります。置換漏れです。
提出前に、前の工事名でファイル内を検索してください。1回の検索で防げます。
工事が変わったら、変更施工計画書を出す #
施工計画書は出して終わりではありません。
工事内容・工法・工程・体制などが当初の計画から変わったら、変更施工計画書を提出します。
| よくある変更 | 例 |
|---|---|
| 設計変更 | 数量が増えた、構造が変わった |
| 工法の変更 | 現場条件が違って別の工法にした |
| 工程の大幅な変更 | 天候・設計変更で工期が動いた |
| 体制の変更 | 主任技術者・監理技術者が交代した |
計画と違うやり方で工事を進めていて、書類上は当初の計画のまま——これが検査で見つかると厄介です。
「言われてから出す」ではなく、変更が決まった時点で監督員に相談してください。出すべきかどうかも含めて教えてもらえます。
判断に迷ったら聞く。 新人が自分で「これは出さなくていい」と決めないことです。
施工計画書と、他の書類のつながり #
施工計画書は単独の書類ではなく、現場の書類の親玉です。
| 施工計画書に書いたこと | それに対応する実務 |
|---|---|
| 計画工程表 | → 工程表の更新(予定と実績) |
| 施工管理計画(写真管理) | → 施工写真の撮影・整理 |
| 品質管理計画 | → 試験の実施と成績表 |
| 出来形管理計画 | → 出来形測定と管理図 |
| 安全管理 | → KY活動・安全教育の記録 |
つまり、施工計画書に「やる」と書いたことは、全部やって記録に残す必要があります。
「立派に見せよう」として、実施できない管理項目まで書き込むと、自分の首を絞めます。 書いたのにやっていない=検査で指摘されます。
実際にやることだけを書く。 これも大事な判断です。
試験との関係 #
施工計画は、第二次検定の記述テーマとしても出ます。
| 試験 | つながる内容 |
|---|---|
| 土木 第二次 | 施工計画の事前調査(地形・地質・近隣・関係機関との協議)は定番の出題 |
| 造園 第二次 | 施工計画・工程管理は必須問題。R6から全問必須 |
| 経験記述 | 施工計画書に書いた対策が、そのまま経験記述のネタになります |
実務で施工計画書を作った経験は、経験記述で一番使いやすい材料です。課題・検討・対策・結果の流れが、そのまま計画書の構成と重なっているからです。
→ 経験記述はどこで減点されるか【提出前の15項目チェックリスト】
あると助かるもの #
施工計画書は印刷して製本し、部数を用意して提出することが多い書類です。現場事務所に簡易な製本の道具があると、提出前に慌てません。
図面や計画書をまとめて持ち歩くなら、A3が入るケースがあると便利です。
よくある質問 #
Q1. 施工計画書は何ページくらいになりますか? #
工事の規模によります。 小規模なら20〜30ページ、大規模なら100ページを超えることもあります。ページ数を目標にしないでください。必要な項目が漏れなく書けているかが基準です。
Q2. ひな形が会社にありません。どうすれば? #
発注者が記載例や様式を公開していることがあります(国土交通省の各地方整備局、自治体など)。まずは発注者の監督員に「参考にできる様式はありますか」と聞いてください。門前払いされることはまずありません。
Q3. 監督員から差し戻されました。まずいですか? #
まったく普通です。 筆者は初回、全ページに鉛筆を入れられました。むしろ一発で通るほうが珍しいくらいです。指摘された箇所を直して再提出すれば問題ありません。大事なのは、指摘の理由を理解して次に活かすことです。同じ指摘を2回受けると、さすがに印象が悪くなります。
Q4. 変更施工計画書は、どの程度の変更から必要ですか? #
判断に迷ったら監督員に聞いてください。 発注者や工事の性格によって運用が違います。新人のうちは自分で線引きしないほうが安全です。「こう変わったのですが、変更計画書は必要でしょうか」と聞けば済みます。
Q5. 施工計画書を作る時間がありません。 #
現場が動き出す前が唯一のチャンスです。着工後は日々の管理で時間が取れなくなります。契約後、着工までの期間に集中して片付けてください。 ひな形を使えば、思っているより早く形になります。
まとめ #
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 性格 | 着工前に出さないと工事に着手できない書類 |
| 優先順位 | 完成度より提出の早さ。60点で早く出して直す |
| 作り方 | ゼロから書かない。会社のひな形+似た工事の実績が土台 |
| 直すところ | この現場に固有のところだけ。特に安全上の危険箇所 |
| 力を入れる項目 | 施工方法と安全管理の2つ |
| 差し戻しの定番 | 前の工事名の置換漏れ。提出前に検索を |
| 流用元 | 種類を間違えると全ページ直されます(筆者の実体験) |
| 変更時 | 変更が決まった時点で監督員に相談。出し忘れが一番まずい |
| 注意 | 実施できないことは書かない。書いたらやる必要があります |
施工計画書は、分厚くて最初は気が重い書類です。でも一度作れば、次からは土台があります。 最初の1冊を、期限内に出すことだけ考えてください。
関連記事もあわせてどうぞ #
📚 合格への近道
独学合格者が厳選した参考書ガイド
施工管理技士 独学合格者が選ぶ書籍ガイド。買って失敗しない1冊が見つかります。
ビーバー監督
1級土木・造園施工管理技士
造園作業員として働きながら独学で2級・1級造園施工管理技士を取得。その後、1級土木施工管理技士も独学で合格。 現在は現役の土木職員として働きながら、資格取得を目指す方に役立つ情報を発信しています。
プロフィール詳細を見る →関連記事
この記事を読んだ方におすすめの記事です(タグ・カテゴリの近さで自動表示)

新規入場者教育の記録、何を書けばいい?【空欄ひな形+記入例つき】
新規入場者教育の実施記録の書き方を現役監督が解説。まず押さえるべきは全建統一様式第7号という業界標準です。何を教えるか(労働安全衛生規則第35条+現場固有)、記録に書く項目、架空の記入例、提出前チェックリストまで。空欄のひな形をそのまま使えます。

現場監督1年目にやること【最初は雑用と手伝いでいい】3冠監督の実体験
新人の現場監督が最初の1年で実際にやること。雑用・掃除・草むしり・現場の準備から始まるのが普通です。朝5時出発と遅刻のリスク、試用期間後に待っている運転業務、支給品が合わないときの装備、ハチ対策、給料と資格手当まで、独学3冠の現役監督が実体験で解説します。

現場で使う工程表の作り方【エクセルのバーチャートで十分】遅れたときの挽回まで
現場監督が実際に使う工程表の作り方を解説。実務はエクセルのバーチャートで十分。工種の並べ方、日数の出し方、予定と実績の2段書き、全体・月間・週間の使い分け、そして遅れたときに班を増やして挽回した実体験まで。ネットワーク工程表との違いも整理します。

施工写真の撮り方【写真が残っていないと検査に落ちます】現役監督の実務
施工写真の撮り方を現役監督が解説。埋まるものは写真でしか確認できないため、写真がなければ検査に通りません。撮り忘れを防ぐ唯一の方法、構図の基本、黒板・ホワイトボードの選び方、電子小黒板とリコーWGのCALSモードまで実体験でまとめます。

第二次検定が終わったあと【記述式は自己採点できません】発表までの3ヶ月にやること
施工管理技士の第二次検定は記述式なので、自己採点ができません。手応えが当てにならない理由、合格発表までの日程(1級土木・2級土木・1級造園・2級造園)、第一次検定の合格が永久に有効という制度、そして発表を待つ3ヶ月の使い方を独学3冠の現役監督が解説します。

小柄な人の作業着はどこで買う?【身長160cmの監督が行き着いた2社】
身長160cm・体重50kg台前半の現役監督が、作業着のサイズ問題の答えを公開。バートルでMサイズを着ている理由、ワークマンとの使い分け、サイズ表を実寸で見るべき理由、21.5cmから選べる安全靴まで実体験で解説します。